リンゴの木の下で小鳥たちと一緒にパリパリのクロワッサンを。そんな絵本の中みたいなブーランジュリー「メゾン・ランドュメンヌ」。ふと顔をあげるとそこは、大規模開発中により大量の工事用トラックが走る麻布台。そして手元のクロワッサンは1個540円の、お金のかほり漂う都会のど真ん中という面白さ。
パリから来た日本人女性オーナーのお店
こちらのお店、パリで20店舗ちかくを構えるブーランジュリーの海外初出店。本国の1号店は2007年にオープンし、グルメ誌やファッション誌で数々の賞を受賞した大人気店です。
と、ここまでは初上陸系のお店によくある肩書き。驚くのは、このお店のパン職人兼オーナーがなんと日本人女性だということ。しかも35歳でパリに渡った波乱万丈の末の凱旋帰国だとか。かっこよすぎて思わずため息。38歳のわたくし、間に合うかしら。
絵本の中のテラス席
こちらのカフェを印象づけるのは、いかにもパリのカフェらしいラタンチェアのテラス席。お隣に立つ頭でっかちが愛らしいリンゴ風の木が、まるで絵本の中に入ったかのような気分に。もちろん本物のリンゴではなく、赤と白のオーナメントです。クリスマスはライトアップもするのかしら。ちなみに暖房はかなりしっかり完備されていて、冬でも居心地がよさそうです。
うってかわって、店内はリアルなパン屋さん。以前は店内の半分くらいを占めていたイートインスペースが今はまるっと工房に。ガラス張りなので広さの印象は変わらないものの、雰囲気はだいぶ変化。パリ風のソファや壁紙はなくなり、飾り気なしの製造現場になりました。
ここまで丸見えならば、キッチンもパリ風のかわいい内装なら素敵だなあ、なんて思ってしまうのだけれど、ここは真面目なものづくりの場。パフォーマンス一切なし。パンへの信頼度が増す光景です。
極細、極薄、繊細クロワッサン
工房で焼き上げられた高級クロワッサン。こちらのお店の代名詞です。
クロワッサン フランセ ¥540
売りはAOP認定のフランス産発酵バター「モンテギューバター」をたっぷり使用していること。2020年からこのバターを採用し、以前よりさらにおいしくなったとのことで、もうワクワク。
その土地の特性(気候条件や伝統的な生産法)が産品に反映されるという考え方のもと、指定された地域で正当に生産されたものであることを証明するフランスの品質保証制度。
とにもかくにも層が細かい。生地が丁寧に折られたのがひと目でわかります。そのうえ表面は極薄なので、超繊細なパリパリ食感。これが他のお店のクロワッサンにはない特徴。ゆえに、割く時めちゃめちゃ飛び散ります。
内側は意外にもむちっとしてなかなか切れないので、がんばって引っぱっている間に表面がどんどん飛び散って焦る焦る。ひとかけらも逃したくないのに。
バター含有量が多いというわりに、ちぎった手にバターがつく感じもなく、クロワッサンの中身の見た目にもジュワジュワ感はなし。自慢のバターはさほど存在感がないようです。なんならわりとさっぱりめな部類。
バターが売りであること、パリの前評判、そしてこのお値段という3重のハードルが高すぎるゆえに拍子抜けはするけれど、ほんのり甘くて幸せ感があるし、上品なパリパリ食感が心地いい、おいしいクロワッサンです。
ちなみに国産バターを使ったクロワッサン「クロワッサンジャポネ」も存在します。お値段はかなり下がって¥292。バターが違うだけで製法は同じらしいので、「クロワッサンフランセ」でバターを感じられないわたくしはこちらでよかったのかも。
コスパ最強バゲット
そしてもう一つの看板商品はバゲット。お店の一番奥で焼いている姿が見られます。
フランス人らしきマダムがまとめ買いしていったのを目撃。高級クロワッサンとは真逆で、1本¥227という破格のお値段。
そのバゲットを使ったサンドイッチがこちら。
ジャンボンフロマージュ(ハーフ) ¥508
おいしい、としか表現できないシンプルなお味。表面は薄めで全体は軽め。もちっと感も主張しない程度にあります。
好み的には小麦感と歯応えの強い「VIRON」のバゲットの方が好きだけれど、これが1本¥227なら確かに嬉しい。
ハーフのバゲットが¥130なのにサンドイッチになったとたん¥508になるのはツッコミたいところだけれど、ハムとチーズが高級もしくは挟んでる人が高級取り、ということにいたします。笑
イートイン客のためにイチから作ってくれるサンドイッチメニューはなく、テイクアウト用に陳列されている個包装のものをピックアップするスタイル。チェーン店のパン屋さんみたいでアガらないのが本音だけれど、購入後にバルミューダのオーブンで温めるプロセスはわくわくします。セルフなので、自分で水を入れて、焼き加減も自己責任。チーズがトロっとするのを待ってたら、クロワッサンをちょっと焦がしてしまって絶望。
カフェ・クレーム ¥682
左右でくっきりのハーフ&ハーフになっているのはアートなのかしら。もしそうならモダンすぎて最高。黒とかのかっこいいカップに入れたくなります。
お味は普通。コーヒー屋さんじゃないので贅沢を言わない、という前提で。
カオスを楽しむのがオススメ
お店があるのは、外苑東通りと麻布通りの交差点「飯倉片町」のすぐ近く。もともと車通りの多い場所ですが、今は大規模開発により工事現場を出入りする大型トラックも加わって、さらに落ち着かないエリア。その喧騒の中にぽつんと存在するロマンティックスポットであり、さらに店内とテラスの雰囲気ががらっと違う、いわばカオスなカフェ。
何かと評判のクロワッサンよりも、そんな面白い環境を楽しんでみるのがわたくし的なオススメです。
MAISON LANDEMAINE TOKYO
東京都港区麻布台3-1-5
営業時間:8:00-18:30
https://www.maisonlandemainejapon.com
※最新の営業時間はお店のHPもしくはInstagramでご確認ください。
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徒歩3分